大脳小脳

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大脳小脳

1)大脳小脳とは

小脳は大脳小脳、前提小脳、脊髄小脳の3種類に分けられ、おもに運動制御に関わっている。そのうち大脳小脳は、上肢の精密な運動を抑制する役割がある。

また、運動制御以外にも認知機能に深く関与しており、「大脳皮質の情報を処理して運動プログラムを調整する」機能も持ち合わせている。

その機能をまとめると、過去の経験から運動プログラムを調整するために運動を繰り返すことで運動を学習することにある。大脳小脳が運動学習を完了して運動プログラムが最適化された状態を、「小脳に内部モデルが形成された」と表現することにある。

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大脳小脳は、実際に起こった感覚情報や大脳皮質の運動関連領域である運動前野と、一次運動野の他に状況判断や行動選択を意欲に関する情報を処理する前頭前野からの情報を受け取る。これらの上方をもとにして、フィードフォワード制御に深く関与する。

※フィードフォワード制御
あらかじめ、目的とする運動に必要な運動指令を脳内で計算しておき、フィードバック情報に頼ることなく運動を遂行する制御

※前提小脳と脊髄小脳
視覚+頭部の動きに関する情報が入力されて、脊髄小脳は体幹と四肢の体性感覚情報や脊髄に体制する運動指合に関する情報が入力される。前提小脳と脊髄小脳は、主に実際に起こった感覚情報を直接受け取っている。

(1)大脳皮質の情報からの情報処理

大脳皮質からの情報は、実際に起こった感覚情報だけではなく、運動実行前に関与する運動前皮質の情報も含まれてる。また、運動前皮質は2種類存在する。

①補足運動野
運動前皮質には体から得られる内部情報をもとに運動を制御する。

②運動前野
外界から得られる資格情報をもとに運動を制御する。

1.運動前皮質の役割(例)コップで水を飲む動作を行なう場合
喉が渇いたという体から得られる内部情報をもとに、運動を制御するのが補足運動野であり、コップを見たときの視覚情報をもとに運動を制御するのが運動前野である。

そして、大脳小脳がこれらの情報によって身体動作を調整するおかげで、目の前のコップを取るとき、実際にコップを取る動作を取らずとも、視覚情報の整理で運動を制御できるのである。

2)神経回路

大脳皮質の情報⇒橋核⇒中小脳脚⇒苔状繊維⇒顆粒細胞⇒平行線維⇒プルキンエ細胞⇒歯状核⇒上小脳脚⇒赤核+視床⇒下オリーブ核⇒途上線維⇒大脳小脳

この神経回路のうち、歯状核〜赤核〜下オリーブ核路を介して、運動学習を行う。視床外側腹側核に送られた情報は、運動前野と一次運動野に届けられる。

(1)プルキンエ細胞

小脳皮質における唯一の出力神経細胞であり、運動実行前に予期した運動と実行した運動に誤差信号がなければ、平行信号からプルキンエ細胞を興奮させる。

・誤差信号がない場合
プルキンエ細胞が高頻度に興奮し、歯状核の活動を抑制。それにより赤核と視床を抑制し、普段通りの運動が実行される。

・誤差信号がある場合
プルキンエ細胞が低頻度に興奮し、歯状核が活動することで新しい運動パターンが構築される。

3)大脳小脳の損傷によって起こるリスク

大脳小脳を損傷した場合、先ほどの「目の前のコップを取る」という動作においても、大脳皮質の活動がズレて動作開始の遅延、※企図振戦や測定障害が起こる。

※企図振戦
目標物に手が届きそうになると強くなる手などの震えのこと。コップで水を飲む動作の場合には、口に届きそうになると余計に震えが強くなり、こぼしてしまいそうになることもある。小脳の障害・病気が疑われる。

これにより、身体運動プログラムが調整することが出来なくなってしまい、姿勢制御に関する運動前野と髄運動に関する一次運動の活動するタイミングが遅延したりバラついたりする。

大脳小脳が運動プログラムを調整できない状態の代償として、現在見えている視覚情報を頼りに意識的に運動を制御する。

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