妊娠中の運動

運動する際は必ず担当医に相談するようにしてください。

 

激しいスポーツをすると筋肉への血流量が増加するため、子宮への血流量が低下し、胎児低酸素症が発症する恐れがあり、また、体を激しく動かすことにより子宮収縮を促す恐れもあります。

日本臨床スポーツ医学会産婦人科部会の妊婦スポーツ安全管理基準によると、妊婦さんの運動強度としては、心拍数140~150bpm以下、自覚的(主観的)運動強度としては、「ややきつい」程度が許容範囲とされています。

ただし、動物実験では同じ運動強度であっても運動時間が長くなるにつれ子宮血流量が次第に低下していくことが明らかになっているため、連続運動を行う場合には、心拍数では135bpm程度、自覚的には「やや楽である」以下とする、とされています。

 

運動を行う時間帯は、子宮収縮が起こりにくいと言われる午前10時~午後2時の間が望ましいと考えられています。

また、頻度ですが、もともと運動習慣の少ない妊婦さんの場合は週に2~3回、1回の運動時間は60分以内を目安とする、とされています。

 

いくら妊婦さんに向くと言われる運動をしていたとしても、運動中、体に異変を感じたらすぐに中止しましょう。

具体的には、立ちくらみ、頭痛、胸痛、呼吸困難、筋肉疲労、ひざ下の痛みや腫れ、腹部の痛みや張り、重苦しい感じ、性器出血、中期以降では胎動の減少や消失、羊水の流出、といった症状を感じた場合です。

こうした場合は、主治医に具体的な症状を連絡し、指示を受けるようにしましょう。くれぐれも無理せず、楽しみながら運動することが大切です。

 

 

有酸素運動の自覚的(主観的)運動強度が『ややきつい』より強いものは避けるようにしましょう。この強度は、心拍数でいうと、30歳代で145以下、20歳代で150以下に当たります。

 

 

特に腹部に圧迫が加わりやすい運動も避けることが重要です。また、子宮が増大する妊娠16週以降では、仰臥位(仰向き)になる運動は避けましょう。

 

むくみの解消

むくみとは、体内に水分が溜まって腫れてしまう状態をいいます。排卵後には妊娠に備えて黄体ホルモンが分泌され、妊娠後は右肩上がりで分泌が増えますが、このホルモンには体内に水分貯留を引き起こしてしまう作用もあるため、妊婦さんはむくみやすいといわれています。

運動の中でもウォーキングは、脚の筋肉が収縮することにより、重力で脚に下がった血液の循環を促すため、 むくみが解消されやすくなります。適度な運動は、むくみのほかに肩こりや 便秘の改善にも役立ちます。

ストレス解消

妊娠を喜ばしく誇らしい経験と感じ、肯定的に受け入れられる妊婦さんもいれば、そう感じられない妊婦さんもいるかもしれません。

妊娠すると、つわりやその他のマイナートラブルなどによる身体的な不快感に加え、趣味や仕事をこれまで通りに継続するのが難しいこと、友人や仲間との交流に不自由さを感じるなどから来る精神的喪失感におそわれることもあります。

また、妊婦さん自身の体の変化や赤ちゃんの成長に対する漠然とした不安や戸惑いなどを感じることもあるでしょう。

運動を行うとメンタルに良い影響を及ぼすということは数多く報告されています。適度な運動は妊娠中に感じる負の感情の軽減にも役立つでしょう。

体力の維持、体重増加防止

妊娠初期、初めての妊婦さんならなおさら、何事にも慎重に日々を過ごすことになると思います。ただ、安静にばかりしていると筋力が弱り、代謝も落ちてしまいます。出産まで必要な体力を維持するためにも、適度な運動は効果的です。

また、妊婦さんが増やしすぎず、かといって無理なダイエットもせず、適度なスピードで体重を増やしていくことは、妊娠後期の妊娠合併症の予防や赤ちゃんが低出生体重児として生まれてくることを防ぐうえでも大切なことです。

適切な摂取カロリー量に注意することと併せ、適度な運動を行うことは、体重の急激な増えすぎを防ぐのに役立つでしょう。

 

妊娠中の運動はいつからOK?

先生(男性)

無理のない運動であれば、特にやってはいけない時期はありません。

あえて言うならば、妊娠初期で出血しているうちや、妊娠後期で満期近くなってきた場合は控えた方がいいでしょう。

こんな運動はNG!

先生(男性)

思わぬ怪我をする危険がある、山登りやスキーなどは避けましょう。

その他にも、
・身体を過度に捻じ曲げるストレッチ
・お腹を圧迫する運動
・激しくジャンプする運動
・体の向きを急激に変える運動
はやめましょう。

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