栄養学の歴史~中国編~

〈チャイナプロジェクト〉
キャンベル博士もまた第二のマクガバン報告とも言える「食習慣と健康に関する研究レポート」(1982年に作成した全米科学アカデミー(NAS)の報告書「食物・栄養とガン」)で、「動物性たんぱく質の摂取量が増えると乳がん、子宮内膜がん、前立腺がん、結腸・直腸がん、膵がん、胃がんなどの発生率が高まる恐れがある」として「これまでの西洋風な食事では脂肪とたんぱく摂取量との相関関係は非常に高い」と述べています。
そのレポートもマクガバンレポート同様、闇に葬られたそうです。
葬られた「第二のマクガバン報告」(T・コリン・キャンベル、トーマス・M・キャンベル)

ネズミに最強の発がん性物質であるアフラトキシンを与えたとき、動物性高たんぱく食と動物性低たんぱく食を与えたときにどうなったかを示しています。
結果は、体にとって必要なたんぱく質量=総カロリーの10%を越えたときに、ガンが急激に成長するというものでした。
低たんぱく食のネズミは、高たんぱく食のネズミに比べ、活発であり、また100週後において、高たんぱく食のネズミがすべて死んでしまっていたのに対し、低たんぱく食のネズミは全て生きていて、毛並みなどもよく元気であったことを示しています。

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この結果は、アカゲザルの研究と同様です。
本書で明らかにしていることは、人間にこれと同じことが当てはまるのかということです。
本書では中国人を対象にした、史上最大規模の疫学調査であるチャイナプロジェクトの結果が紹介されており、このネズミの研究とまったく同じことが人間に対してもいえるということです。
動物性たんぱく質を減らし、プラントベースのホールフードを心がけることが、元気と若さと長寿につながるようです。

チャイナプロジェクトの調査結果において、これまで健康に良いとされてきた動物性たんぱく質は実はその逆で、ガンの成長を促進します。
動物性たんぱく質は、少量でも多くの慢性疾患を発症させ、有害な影響を及ぼしていたことが証明されました。

また、絶えずガンの発生・増殖を強力に促進させるものの存在とは 牛乳のたんぱく質の87%を構成しているカゼインでした。カゼインはガン形成・増殖どの過程においても作用しています。
一方、大豆などの植物性の食品からたんぱく質を最も多く摂取していた人達は、健康で慢性病から免れる傾向にありまた。
「食肉は大腸ガンのリスクが高まる 」ことが発表されました。

全ての慢性病(心臓病・各種ガン・糖尿病・脳卒中・高血圧症・関節炎・白内障・ED(勃起不全)自己免疫疾患・骨や腎臓の病気・高齢者の視力やアルツハイマーなどの脳障害など)の回復と、予防が再三証明されている食習慣とはプラントベース(植物性食品中心)のホールドフード(未精製・未加工の食べ物)で構成された食事です。

人間は、プラントベースのホールフードを食べていれば、必要なたんぱく質を摂取できます。
最も少ないジャガイモでさえ7~8%、たんぱく質の多い緑黄色野菜には豆類よりも多い40%近くのたんぱく質が含まれています。
下は最強の発がん物質アフラトキシンの量をいくら増やしても、たんぱく質の量が少ないとガンを発症しないことを示しています。
正しい食事をしていれば、発がん性物質にさらされていても問題ないという結果です。

この結果は、まさにプラント博士が自らの体験を綴った『乳がんと牛乳』の結果と一致するものです。

参考
乳がんと牛乳─がん細胞はなぜ消えたのか 、ジェイン・プラント, 佐藤章夫(翻訳)径書房;初版 (2008/10/15)
『乳がんと牛乳』
『病気にならない生き方』
『エコロジカル・ダイエット』

『動物としてのヒトを見つめる』(島田彰夫著・農文協)

に「牛乳の消費量の多い国では結腸ガンや直腸のガン、乳ガンや肺ガンの死亡率が高いとの記載がある。

西欧的な食生活の代表として『牛乳』、日本的な食生活の代表として『味噌汁』を使って調査をした結果、昭和35年生まれと昭和45年生まれの人を対象とした小学校入学時から高校三年生までの追跡調査では 『牛乳大好き』の人たちの視力がもっとも悪く、『好き』『普通』『嫌い』の順に視力は良くなり、『味噌汁』ではそれと逆になった」と報告されています。

アメリカでも以前、牛乳を飲め飲めといった時代がありましたが、現在の食事指針では牛乳は週に2,3度程度の摂取が適当とされています。

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