股関節のインピンジメント

インピンジメント=挟み込み

股関節の場合は寛骨臼と大腿骨による挟み込み

関節唇(大腿骨の受け皿となる骨の輪郭を覆っている線維性の軟骨です。)のお陰で寛骨臼に大腿骨をしっかりはめる事ができる。

 

関節唇や関節軟骨は痛みの原因になりやすく変性しやすい

股関節のインピンジメントになると可動域の制限(足が上がらないなど)や疼痛が起きてしまう

 

股関節インピンジメント( FAI)とは、股関節を形成する大腿骨ないし寛骨臼の構造的問題のため、反復動作により関節軟骨や関節唇といった股関節の周辺構造に微細な損傷や変性をきたす疾患である(「インピンジメント」とは衝突を意味する)。
緩やかに発症する鼠径部痛(ランニングや起き上がり、キック動作など腹部に力を入れたときに鼠径部やその周辺に痛みが生じます。)を特徴とし、長時間の歩行や長時間の坐位などによって疼痛が増強する。
変形性股関節症の初期病変の1つとも考えられており、これまで一次性変形性股関節症と考えられていたものの一部は股関節インピンジメントが原因であったとされる。

股関節インピンジメント(FAI)の明確な定義は現在のところ存在しないが、股関節の構造のパターンとして、カム型(Cam type)とピンサー型(Pincer type)、それに両者が合わさった混合型(Combined type)が存在する。これらの構造異常により股関節の可動に伴って寛骨臼の前上方や骨頭・頸部移行部に損傷をきたす。

 

    • カム型:20〜30歳代の男性に好発する。寛骨臼は正常であるが、大腿骨頭から頸部の移行部の前上部に問題があるもの。通常はこの部位が凹んでおり大腿骨頭が潤滑に動くことが出来るが、カム型の股関節インピンジメントではこの部位が平坦ないしは凸になっており、股関節の屈曲時などに寛骨臼側の関節軟骨に衝突し損傷や摩耗を引き起こすものである。関節軟骨の損傷は関節唇の断裂や剥離を引き起こし、骨棘形成など関節変形を引き起こす。カム型の構造の明確な原因は今のところ明らかではない。

骨棘(こつきょく)
関節面の軟骨が肥大増殖し、次第に硬くなって骨化して「とげ」のようになったもの
この骨棘が形成されてしまったら運動療法では改善は難しく手術などが必要となる。

 

 

    • ピンサー型:30〜40歳代の女性に好発する。大腿骨側は正常であるが、寛骨臼側に問題があるもの。臼蓋縁の被覆している部分が過剰であり、これにより関節唇損傷をきたすものである。カム型と同様、明確な原因は明らかではない。

 

股関節痛を有する患者300人に股関節に股関節鏡を行ったところ、その90%は股関節インピンジメントによる関節唇損傷であり(臼蓋形成不全は4%)、特に活動性が高いスポーツに従事する若年者に多いと言われている

股関節インピンジメントの臨床症状としては、股関節の引っかかり感、動作時の鼠径部痛や大腿部痛、階段昇降時の疼痛の増強などがある。他覚的な所見としては、股関節を90°屈曲し、最大内転した後に内旋を強制し疼痛が増強するの確認する前方インピンジメントテストがある。 画像評価としては、カム型でα角(CT画像で骨頭径に合わせた円を重ね、骨性隆起がその円から突出した点と円の中心を結ぶ線と頸部軸が成す角)の拡大、herniation pitの形成があり、ピンサー型ではCE角の拡大やCross over signが見られることがある。 また、MRIでは股関節唇損傷の評価に有用である。

 

股関節のインピンジメントが起きやすい状態
➡️屈曲、内旋、外転
スクワットの時にニーインしながらやってしまうと脚を広げているにで外転、ニーイン(内旋)しながらしゃがむ(屈曲)ので股関節のインピンジメントや股関節脱臼が誘発されやすい

 

股関節の痛みのさまざまな治療法
保存的治療法
運動療法 ストレッチ、ウォーキング、筋力強化、水中運動、肥満解消 など
温熱療法 赤外線照射装置、電動マッサージ器 など
薬物療法 消炎鎮痛薬(内用・座薬)、注射 など
装具療法 補高靴、杖 など
運動療法

股関節周囲の筋肉を強化して、股関節への負担を減らし、痛みを緩和する治療法です。理学療法士の指導の下で、個人の状態に合わせたリハビリテーションを行うことがおすすめです。正しいやり方を知っていれば家庭でできるものもあります。また、減量することで、股関節への体重の負荷を軽減できます。

温熱療法

患部を温めることによって血行を促し、炎症(えんしょう)を軽減させて痛みを抑える治療法です。また、温めることで、筋肉や関節が動かしやすくなります。

薬物療法

消炎鎮痛薬(飲み薬、湿布・塗り薬、座薬)を用いる療法や、股関節にヒアルロン酸を直接注射して、痛みや炎症(えんしょう)を抑える治療法です。薬物療法には副作用のリスクが伴いますので、必ず病院の先生に相談してください。

装具療法

歩行時に、杖を使用することで、股関節にかかる負荷を軽減します。左右で脚の長さが異なる場合には、靴に補高を行い、調整することもあります。

コメントを残す